ロンドン発シンガーソング・ライター。
60~70年代のポップス、ソウル、オールディーズに影響をうけたサウンドが特徴。
イギリスでティーンエイジャーから30代まで幅広く受け入れられ大ヒットしている。

『Rocket Man』というタイトルが表しているのは、おそらく宇宙飛行士のことでしょう。
この宇宙飛行士という言葉には、エリートの高給取りで頭も良く格好いいというような大変肯定的なイメージが備わっています。

ところが歌詞を読んでもこういうイメージは出て来ません。
むしろ歌詞に登場するのは、さして好きでもない仕事なのに、生活のために長時間働かねばならない「普通の人」の「普通の生活」です。

このため曲を聴けばほぼ全員が共感できますが、それがこの曲を名曲たらしめている所以ではないでしょうか。

She packed my bags last night pre-flight
Zero hour nine a.m.
And I’m gonna be high as a kite by then
I miss the earth so much I miss my wife
It’s lonely out in space
On such a timeless flight

And I think it’s gonna be a long long time
Till touch down brings me round again to find
I’m not the man they think I am at home
Oh no no no I’m a rocket man
Rocket man burning out his fuse up here alone

Mars ain’t the kind of place to raise your kids
In fact it’s cold as hell
And there’s no one there to raise them if you did
And all this science I don’t understand
It’s just my job five days a week
A rocket man, a rocket man

And I think it’s gonna be a long long time…

昨夜フライトの前にあいつが荷造りをしてくれた
出発は午前9時
その頃には空を舞う凧みたいに
遥か上空にいるはずだ
地球がすごく恋しいし,あいつにも会いたいよ
宇宙ではひとりぼっち
終わることのないこんなフライトをしていると

まだまだずっと先のことなんだろうな
着陸してまた家に戻れるのは
そうすればわかるんだよ
家にいる時は
いつも外で見せてるような
姿とは全然違うって
だけど無理だな 宇宙飛行士だから
宇宙飛行士ってのは
ここみたいに地球からずっと遠い空の上で
ひとりぼっちで燃え尽きちゃうもんなんだよ

火星なんて子どもを育てるところじゃない
本当に死ぬほど寒いんだ
仮に育ててみたとしても
そんなことしてる人なんか他にはいない
こういう科学技術には詳しくないけど
仕事だからやってるんだ
週に5日働くだけ
なにしろ宇宙飛行士なんだから

まだまだずっと先なんだろうな・・・・

(補足)

Ray Bradburyの「Rocket Man」という作品を読んだことがあるでしょうか?
私はありませんが、海外の歌詞サイトではその作品を基にしているという解釈を見つけました。すなわち

“its about and astronaut and his family and about how much he wants to stay home with his family but he can’t pull himself away from space but he promises it will be his last time going up but his ship crashes into the sun.”

(この作品は)宇宙飛行士とその家族の話。家族と一緒に暮らしたいと願いながら、一方で宇宙を捨てきれずにいた宇宙飛行士が「これが最後だから」と家族に約束して宇宙へ向かったものの、宇宙船が太陽に衝突してしまったという話
という説です。

歌詞を読んで最初に受けた印象がそうだったように、この説にも説得力がありそうです。
またこの他にも、このRocket Manはツアーで家を留守にしがちなロック・スターのことだとする意見もあり、こちらもそれを前提にして歌詞を読むと大変興味深いものがあります。