【歌詞翻訳・意味解説】Jason Isbell/ジェイソン・イスベル Elephant/エレファント【歌詞翻訳・意味解説】

アメリカのシンガーソングライター。妻はシンガーソングライターのアマンダ・シャイアズ。

2001~2007年、Drive-By Truckersに参加した。

タイトルでもあり、歌詞にも登場する「the elephant」という単語は一体何を意味するのでしょうか?
これが2011年だったなら,間違いなく途方に暮れていたと思うのですが,さすがに今はそれが「誰もが触れたくないある種の重大な問題」を意味するとわかっています。英語のイディオムだからです。

She said Andy you’re better than your past,
winked at me and drained her glass,
cross-legged on the barstool, like nobody sits anymore.
She said Andy you’re taking me home,
but I knew she planned to sleep alone.
I’d carry her to bed and sweep up the hair from the floor

If I had fucked her before she got sick
I’d never hear the end of it
she don’t have the spirit for that now

We drink these drinks and laugh out loud,
bitch about the weekend crowd,
and try to ignore the elephant somehow
somehow

She said Andy you crack me up,
Seagrams in a coffee cup,
sharecropper eyes and her hair almost all gone.
When she was drunk she made cancer jokes,
she made up her own doctor’s notes,
surrounded by her family, I saw that she was dying alone.

I’d sing her classic country songs
and she’d get high and sing along.
She don’t have much voice to sing with now

We’d burn these joints in effegy,
cry about what we used to be,
and try to ignore the elephant somehow.
Somehow

I buried her a thousand times,
giving up my place in line,
but I don’t give a damn about that now

There’s one thing that’s real clear to me,
no one dies with dignity.
We just try to ignore the elephant somehow.
We just try to ignore the elephant somehow.
We just try to ignore the elephant somehow.
Somehow.
Somehow.

Andy
前よりよくなったねって
そう言ってウィンクしながら
自分のグラスに酒を注ぎ
バー・スツールの上で胡坐をかいた
椅子に座る人なんか
もう誰もいないって風に
Andy家まで送ってねって
思わせぶりに言ってたけど
自分にはちゃんとわかってた
誰かと寝るつもりなんか
これっぽっちもないってことが
あいつをベッドに運んでやって
床にこぼれたあいつの髪を
そっとすくってやってたよ

あいつが病気になる前に
そういうことになってたら
いつまでも延々と
そのことを言われたな *
だけど今のあいつには
そんな元気はもうないんだ

酒を何杯か一緒に飲んで
大きな声で笑いながら
週末は混み過ぎだなんて
文句を言って
目の前にぶらさがってる
「そいつ」のことを 
とにかく考えないようにしていたよ

Andy
あんまり笑わせないでよって
そう言った
コーヒーカップに酒を注ぎ
悲しそうな目をしてた
あんなに豊かだった髪の毛も **
もう今はほとんど残ってない
酔いが回ると
ガンをネタにジョークを言って
自分で診断書をでっちあげた
目の前で
あいつは家族に囲まれながら
たったひとりで死のうとしてた

誰でも知ってるカントリーを
昔はあいつに歌って聞かせた
そのうちにむこうも乗って来て
よく一緒に歌ったよ
だけど今のあいつはもう
歌う声さえ出せないんだ

マリファナタバコに火をつけて
やり場のない怒りをぶつけ
昔のことを思い出して
一緒に泣きながら
目の前にぶらさがってる
「そいつ」のことを
とにかく考えないようにしていたよ

数えきれないほど
あいつのことを忘れようとした
自分も死にたいと思ったけど
もう今はそんなこと
これっぽっちも考えてない

自分でもこれだけははっきりわかってる
潔く死ねるやつなんかいやしない
みんなただどうにかして
目の前にぶらさがってる
「そいつ」のことを
とにかく考えないようにするだけだ

(補足)

* never hear the end of it いやというほど聞かされる

** 第二連の訳文に登場する「あんなに豊かだった髪の毛も」という箇所。元の歌詞に該当する箇所はないのですが、第一連に「床にこぼれたあいつの髪を(sweep up the hair from the floor)」という描写があるので、そこと対比させるために付け加えました。

【歌詞翻訳・意味解説】James Blake/ジェイムズ・ブレイク Overgrown/オーヴァーグローウン【歌詞翻訳・意味解説】

イギリスのシンガー・ソングライター、音楽プロデューサー。
2011年、自身の名を冠したデビュー・アルバム『James Blake』をリリース。この年のイギリス・マーキュリー賞にノミネートした。
2013年リリースの2作目となるアルバム『Overgrown』はマーキュリー賞で大賞に輝いた。
第56回グラミー賞においては、最優秀新人賞にノミネートしている。

ハーモニミクス (Harmonimix)名義で他アーティストのリミックス楽曲のリリースも行っている。

コロシアムへの参加や、ジョン・ウェットンとのモーガル・スラッシュにおける活動で知られるジェイムズ・リザーランドを父に持つ。
1stアルバムに収録された『Wilhelm Scream』は父の曲のカヴァー。

Songfactによれば、
「この曲でJames BlakeはEmily Dickinsonの詩『いたるところに苔がはびこり』(All overgrown by cunning moss)を参考にしている」そうです。
この詩は生命の無常を表したもので、この考え方がOvergrownというアルバム全体に流れています。

また,カナダ人アーティストのJoni Mitchellと出会い、彼女が長年に渡ってキャリアを築いていることに影響されてこの曲を書いたとも言われています。

I don’t want you to know
I took it with me
But when things are thrown away like they are daily
Time passes in the constant state
So if that is how it is

I don’t wanna be a star
But a stone on the shore
Long door, frame the wall
When everything’s overgrown

But what she really really wanted was my rights in the rooms
And I wouldn’t understand that I would try to play along

教えるつもりはないから
自分の心の中にしまっておいた
だけどどんなことに対しても
それに執着せずにいられたら
時間も淡々と流れてゆく
だからそういうことなら

美しく輝いても
朝が来れば消えてしまう
そんな星にはならなくていい
それよりも浜辺にある石になり
変わらず静かに過ごしていたい
壁に開いた大きなドアの枠になり
なにもかもが雑草に覆われて
滅びてしまった時にも
そこにいたい

だけど彼女が本当に望んでたのは
出し抜かれないことだったんだ
なのにそこまでわかってても
言われた通りにしようとしてた
そんな自分がわからない

【歌詞翻訳・意味解説】Jake Bugg/ジェイク・バグ Broken/ブロークン【歌詞翻訳・意味解説】

イギリスのシンガーソングライター。

2012年に18歳でノエル・ギャラガーとストーン・ローゼズのオープニング・アクトに抜擢されたことで注目を集める。
同年10月にリリースされたデビュー・アルバム『ジェイク・バグ』はUKアルバムチャート初登場1位を記録した。

QMagazineにJake Buggが語ったところによると、
「この曲は元々彼が亡くなった友人宅の暖炉の前で作った曲」
だそうです。
思いつくまま歌っている間中絶えず「broken」という単語が口をついて出てきたそうで、きっとそこには何か意味があるんだろうと思ったんだとか。

I’ll wait here for you for I’m broken
Down, coming down this town
For my heart lies

Far and away where they took you down
Led them over to your house
Where I’m broken
Down by the people if they let you breathe
Don’t give a damn if you
Still can’t see still my heart beats for you

Have become all I lost
And all I hoped for
But I must carry on
Always one never broken

Run to the lobby where I saw you try
Don’t give a damn for your reasons why
Why I’m broken
Down in the valley where the church bells cry
I’ll lead them over to your eyes
I am one
I am one

Break a story of
Peace and love in a future
Bright sacrifice came around
Never broken

Down by the people if they let you breathe
Don’t give a damn if you still can’t see
Travlin’ street that I did not know
Wheels like tong to the winter lope
Down in the valley where the church bells cry
I’ll lead them over to your eyes
I am one
I am one

ここでこのまま待ってるよ
だって辛くて仕方ないから
やってきたんだ
だって俺の心は

みんながお前を連れてった
場所からずっと遠くの
離れたところにあるんだから
みんなお前の家に来ればわかる
そこでこの俺が
打ちのめされているってことが
みんなのそばで
ひざまづいても構わない
お前を生かしてくれるなら
たとえ俺のこの気持ちが
伝わらなくてもいいんだよ
それでも俺が生きてるのは
みんなお前のためなんだから

終わったんだな
もうお前には会えなくなった
一番大切にしてたのに
だけど俺はこんなことで
負けたりしない
いつでも強い人間なんだ

あの時俺がお前を止めた
ロビーへ駆け寄っていく
どうでもいいよ
どうしてあんなことをしたのか
どんなこんなに
辛い気持ちになるのか
そんなことはわからなくても
谷間に立つ教会に
鐘の音が悲しげに響いてる
お前の顔の近くまで
みんなを連れて行くよ
俺がひとりで

これから送るんだ
平和で幸せな人生を
大きな犠牲を払ったけど
それでも絶対負けたりしない

みんなのそばで
ひざまづいても構わない
お前を生かしてくれるなら
たとえ俺のこの気持ちが
伝わらなくてもいいんだよ
知らない街角を
こうして車で走っていると
冬の雪道を行くように
車輪が重くなってくる
谷間に立つ教会に
鐘の音が悲しげに響いてる
お前の顔の近くまで
みんなを連れて行くよ
俺がひとりで